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「BENT」感想 マックスのこと [舞台]

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何をどう書けばよいのやら。

ならず者マックス、ふれ込みに反して私の印象はいわゆる、
「飲まなきゃいい人なのにねぇ~」。
だって「オレ何やらかした?」って気にしてたし。
運動したりイワシも食べたり不毛な会話にも我慢してたし。
そこんとこはホルストよりちゃんとしてた。ホルストは全部に「イヤだ」もしくは「どうでもいい」。
ホルストはシンプルやったよなー。「イヤなもんはイヤ」って言えた。
けど、マックスはずっと言えずに我慢してきたのね。だから、ねじれてしもたのね。
いや、こじれてしもたって言うべき?

自分のことも他人のことも愛することが出来ないんじゃなくて、
愛するって事について言語化してみたことがなかったんやろなと思いました。
まあ、私もないです。親しい友達とでもしませんもんねぇ、そんなこっ恥ずかしい話!
親兄弟ともせんでしょ。
するチャンスがあるとしたら恋人と、ですもんねえ。
その狭い機会ですらも、そんな面倒くさい長話に付き合ってくれる人なんてねぇ~。
ましてや一夜限りの恋人達からは答えを得られなかったでしょう。
ホルストにも「自分のことも愛せないんだな」ってバッサリやられてしもたし。
(ただし、ああいう劇を創る人達は当然しはるんでしょう?とこっとん言語化したんでしょうねー)
追記:でもでも、たいがいの一般人は恋人よりも家族よりも、より深くとことん愛の言語化を”読書”や”観劇”で学習してませんか?その体験は本好き以外の方々には体験としてカウントされないことが多いですけど、その対象は純文学でも絵本でも漫画でもアニメでも等しく得難い出会いであり、もしかしたら、カウントされないほどあなたの魂に深く結びついてしまっているのかも知れませんよ?
でもホルストと引き裂かれる経験でやっと解ってしまった。
ルディを失った時はそこまで辿り着けなかったけど、
ずっとずっと彼が求め続けた答えやったのでしょう。
それが解るまでは死ぬ訳にはいかないと、彼の魂が生かし続けてたような気がします。

昨日見てたドラマで、ちっちゃい歩くんが「お父さんとお母さんと一緒に居たい!」と泣いてたんですけど、
愛するって、一緒に居たいってことやなと思います。
面倒くさくてもルディとずっと一緒に居た。ホルストと居たくて巻き込んだ。愛してた愛してた。
そして、生きてるということはそれ自体が自分と一緒に居たいということ。

なんでルディの名前が思い出せないのか、私も不思議でドラッグで脳にダメージが?とか
思ってたのになぁ。
最後の告白を聞いた瞬間に、解ってしまったことが解って全集中力が途切れました。
私の感じたマックスは哀しんでも苦しんでも迷ってもなくて、粛々とすべきことをした。
そんなんイヤやとも止めてとも、私に思わせる余地を与えませんでした。
どエスめ。

本当にキツイ作品でしたけど、こういう作品が上演されなくなってしまったら、戦争とか差別とかが
どんな風に怖くて嫌なものかを人間は忘れてしまう、というか体験して憶えてる人はいつか必ず
寿命を迎えて、教えてくれる人が居なくなってしまう。
(ちょっと、疫病管理センターに保存されているという天然痘ウイルスに近いイメージを持ってしまった。
天然痘は現在もワクチン開発されないまま保管されているという。いつかまた感染者が出た日のために、
それと戦うために必要な情報として残されている。その存在と恐怖を忘れないために。)

1度観るだけでも辛いものを、何ヶ月も。本当に辛いお役目を務めてくださいました。
兄さんだけでなく、この作品の上演に関わった方々に感謝と敬意を捧げます。

でもなーやっぱ兄さんが辛い目に遭ってるの観るのは辛いわ。
(↑これこそ、ファンが捧げる純愛以外の何もんでもないでしょう?)
ほんま観たくなかった…佐々木蔵之介主演やなかったら観てへんよ、これ。
こんなハードな舞台にあんだけのお客さんを呼べるなんて、まったく、たいしたもんですとも。

追記:ルディとマックスの鼻歌。兄さんきっちり音を取れてて「おー」と思いました。
おっきい歩くんがぴったり息を合わせてくれて、歌手の方のそれとは違うけど、
ハモってましたね。
丁度、ルディが難解な右手のパートを担当してマックスがシンプルな左手のパートを
担当して連弾してるような響きで、あれは歩くんのセンスと腕の勝利やなと感じました。
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むーぽ

お久しぶりです
こんなに遅くなりました(* ̄∀ ̄)ゞエヘヘ
もう忘れかけていた辛さが
拝見しながら瞬時に蘇りました
ひーーー。
これを今回、初回をみて
声を失いかけ
あと、二回買っちゃいましたけど
私は本当に見れるのだろうかと
どーんと重くなりました。
だけど兄さん頑張ってるのだし
私には一年に一度の舞台の期間
やはりそばで応援しようと
覚悟を決めました。
私が一番辛かったのは
ホルストが眉毛をなぞるシーンで
その日に限って、私はゆきやさんの視線のど真ん中にいてしまったんです。
辛くてしょうがないのに
目が合ってしまっているのに
逃げたいのに
逃げられない
見届けるしかない
ツライツライツライー
頭も心も一瞬パニック
もちろん私なんてどーでもいいし
関係ないとわかっているし。
ひたすらマックスを思い
気持ちをこめて
眉毛をなぞるシーンだから。
だけどその力のこもった目を向けられれたらもーどーしようもなかった
愛のシーンでありながらも
気迫にまるで刀を刺されたかのような
張り付けにあったような私でした。
あんな経験2度とないでしょう
そんな意味では忘れられないけど
なんと重たい一瞬のシーンだったのです。
兄さんでなかったら
こんなツライ作品決して見なかった。
吐きそうだったのですから。
少しのシーンについて語るだけでも
長くなりそうだから
この辺にしておきます。
カリコさんのをようやく拝見できてよかったです。
そうそう兄さん痩せてなかったから
大丈夫だな、完走出来そうだなと東京で思っていました。
よかったです。
by むーぽ (2016-08-28 16:57) 

むーぽ

追記
読み返したら
吐きそう、しか、まさか
伝わらない?と
またボケてるわたし
言葉が足りないですよね?140;1034[げっそり]
舞台は素晴らしかった
ツライけど、いろいろ
考えさせられたし
兄さんの、また皆さんの役者としての
素晴らしいお仕事ぶりが拝見できて
よかったです。
by むーぽ (2016-08-28 17:02) 

カリコ

むーぽさん!お出ましありがとうございます!
そう、私も「話したいこと」が気になって、書き終えたら伺おうと思ってたですよ~。
なぜ伺ってないかというと、もう一人について書き終えてないことがあったからなんです。
しかーし!ずっとBENT泣きのせいで鼻水が止まらんなーと思ってたのが実は典型的な夏風邪と発覚、今も鼻づまりの酸欠と喉痛でボ~っとして書けそうにない(苦)んで、お返事を先に(笑)

それはとんでもない体験になりましたね。
私やったら、いつぞやのように恥かなぐり捨てて逃げてたかもですよう。
今回演者さんと視線が交錯するような席ではなかったのが私にとって救いでした。いろんな意味で。

鋼のヤリで張り付け串刺しにされるほど鋭い愛のこもった視線は
平凡な日常に在籍する私たちには重いものですが、生き延びるために
恋人や他人の血に手を染めたマックスには必要な重さで、有起哉さんが
それだけの重量や熱量が必要と判断されてそうされたのと、
むーぽさんがそこまで「重く」受け止める感性を発揮されたのの相乗効果ですよね。
それだけの罪を犯したことを知っても、俺は君を愛している。愛したままで死ぬからね、という。
私はそのシーン、一応背もたれに背を付けたままでしたけど、体感的に頭蓋骨がこう…楕円形にたわんでへんやろか?ってくらい引っ張られました。
もしかして、額が割れて寄生獣みたく目が生えてたりして(笑)

そして、ホルストの名前が思い出せない、という告白を聞き終った時、
愛する人を失うことは、その人を愛した自分を失うことで、マックスは
それを自覚してしまった!逝ってしまう。と思った瞬間全集中が途切れて
何も考えられなくなってしまった。マックスもそうやった気がします。

私は多分丁度よい距離で、善悪とか関係なしにその選択を受け容れられる心理状態に、4時間近く掛けて説得されたんやなーと思います。
すべてマックスを痛めつけることばかりであったけれども、魂は救われたと。暗闇の中で彼はそれを掴み取ったんやなと。
もちろん、残虐なシーンひとつひとつを個別に切り取ったら、ただただひどい気分になりますけどね!恋人を殴り殺させるなんて許されへんわ!とか叫びそうでしたもん。
でも、戦争がそういうものであること、差別がそういうものであることを体験して「嫌やー!」ってスグ言えるようになっといた方がいいと思います。

舞台をご覧になってない方が見たら「吐きそうな舞台?」とかって揚げ足取るかもですけど、私にはちゃんと伝わってますし、ここに来られる方の大半は舞台をご覧になった方か、佐々木蔵之介に興味がお有りの方でしょうから大丈夫♪

by カリコ (2016-08-29 23:17) 

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